阿片戦争はホントに小國英雄かぁ?

投稿者: | 2011/08/01

1月に『男の花道』を観てから、小國英雄Wを追いかけている。
とりあえず、今日までに観たのは、50本ほど。脚本家や監督で、これだけ観たのは初めて。
総当たりで観る面白さを知りました。

小國英雄(「シナリオ」1953年5月号 日本シナリオ作家列伝)小國英雄(「シナリオ」1956年8月号 シナリオ作家銘々伝 “新しき村” 時代の小國氏【向って右端】)小國英雄(「シナリオ」1956年7月号 新人よ大地に根を下せ)

まずは備忘録として、観た映画のタイトルと入手先。

エノケンの法界坊斎藤寅次郎W/1938)……TSUTAYA新宿
水戸黄門漫遊記 (斎藤寅次郎/1938)……荒川区立南千住図書館
弥次喜多道中記Wマキノ正博W/1938)……ヤフオクで入手
エンタツ・アチャコの新婚お化け屋敷 (斎藤寅次郎/1939)……荒川区立南千住図書館
エノケンの頑張り戦術中川信夫W/1939)……TSUTAYA新宿
ロッパ歌の都へ行く (小國英雄/1939)……荒川区立南千住図書館
支那の夜W/蘇州夜曲 (伏水修/1940)……TSUTAYA新宿
續清水港/清水港代参夢道中 (マキノ正博/1940)……荒川区立南千住図書館
昨日消えた男 (マキノ正博/1941)……ラピュタ阿佐ヶ谷
家光と彦左 (マキノ正博/1941)……ヤフオクで入手
男の花道 (マキノ正博/1941)……TSUTAYA新宿
待って居た男 (マキノ正博/1942)……国立国会図書館
婦系図W (マキノ正博/1942)……TSUTAYA新宿
阿片戦争 (マキノ正博/1943)……荒川区立南千住図書館
日常の戦ひ島津保次郎W/1944)……荒川区立南千住図書館
龍の岬/恩讐を越えて白井戦太郎W/1945)……荒川区立南千住図書館
三十三間堂通し矢物語W成瀬巳喜男W/1945)……荒川区立南千住図書館
或る夜の殿様衣笠貞之助W/1946)……荒川区立南千住図書館
新馬鹿時代山本嘉次郎W/1947)……台東区立中央図書館
狙われた女森一生W/1948)……東京国立近代美術館フィルムセンター
幽霊列車 (野淵昶/1949)……TSUTAYA渋谷
東京のえくぼ松林宗恵W/1952)……TSUTAYA新宿
煙突の見える場所W五所平之助W/1953)……TSUTAYA渋谷
ブルーバ (鈴木重吉/1955)……TSUTAYA渋谷
宇宙人東京に現わるW島耕二W/1956)……TSUTAYA渋谷
銭形平次捕物控 死美人風呂加戸敏W/1956)……TSUTAYA渋谷
四谷怪談毛利正樹W/1956)……TSUTAYA渋谷
宝島遠征 (小林恒夫/1956)……TSUTAYA渋谷
鼠小僧忍び込み控 子の刻参上 (田坂勝彦/1957)……TSUTAYA渋谷
江戸っ子祭 (島耕二/1958)……TSUTAYA新宿
旅は気まぐれ風まかせ (田坂勝彦/1958)……TSUTAYA新宿
女狐風呂安田公義W/1958)……TSUTAYA新宿
花の遊侠伝 (安田公義/1958)……ヤフオクで入手
孔雀城の花嫁 (松村昌治/1959)……ヤフオクで入手
水戸黄門 天下の副将軍W松田定次W/1959)……東映 Movie Circus
血槍無双佐々木康W/1959)……TSUTAYA渋谷
丹下左膳 妖刀濡れ燕 (松田定次/1960)……東映 Movie Circus
清水港に来た男マキノ雅弘W/1960)……TSUTAYA新宿
水戸黄門 (松田定次/1960)……東映 Movie Circus
安珍と清姫 (島耕二/1960)……TSUTAYA新宿
庄助武勇傳 会津磐梯山 (松田定次/1960)……ヤフオクで入手
森の石松鬼より恐い沢島忠W/1960)……TSUTAYA新宿
家光と彦左と一心太助 (沢島忠/1961)……ヤフオクで入手
赤穂浪士 (映画)W (松田定次/1961)……TSUTAYA新宿
大江戸評判記 美男の顔役 (沢島忠/1962)……ヤフオクで入手
天下の御意見番 (松田定次/1962)……ヤフオクで入手
橋蔵のやくざ判官 (マキノ雅弘/1962)……TSUTAYA恵比寿ガーデンプレイス
影を斬る池広一夫W/1963)……TSUTAYA新宿
雑兵物語 (池広一夫/1963)……ラピュタ阿佐ヶ谷
道場破り内川清一郎W/1964)……TSUTAYA渋谷
昨日消えた男 (森一生/1964)……TSUTAYA新宿
クレージーの無責任清水港W坪島孝W/1966)……TSUTAYA新宿

小國英雄のスゴさは、間口の豊富さだと思う。
歌謡映画・喜劇映画・推理もの・メロドラマとさまざまなジャンルをこなしながらも、ジャンルをまぜこぜにしない。ジャンルごとに書き分けている。

講談や落語、海外の推理小説からアイデアを持ってくる。そのアイデアが、本質を突いて恐れ入る。黒澤明の『天国と地獄_(映画)W』を想起して欲しい。「誘拐での身代金の要求先は、親族である必要はない」・・・この核心部分の視点のあざやかさが、作品を高める。

観たなかでヘンテコなのは、『阿片戦争 (1943年の映画)W』だ。
小國脚本にしては、固い気がする。
ノンクレジットで黒澤明Wが参加していたという記述が、Wikipediaにある。

大オープンセット『阿片戦争』マキノ正博(1943)

『阿片戦争』大オープンセット

『阿片戦争』は、マキノ正博が監督。昭和18年1月公開の国策映画。
いきなり「百年前」とテロップが入る。
売りは、円谷英二Wの特撮と、原節子W高峰秀子Wの姉妹。
原節子がチャイナドレスで踊る。

原節子『阿片戦争』マキノ正博(1943)

『阿片戦争』原節子

どんよりと紫煙のけむる阿片窟にやってきた清の国の高級官吏。
その耳元に案内人がささやく。
「アヘンを吸えば、この世も天国。しかし…天国と地獄は、紙一重でございますよ」
……この阿片窟のイメージは、そのまま『天国と地獄』。
タイトルの腹案は、こんなころからあったのか??

エリオット兄弟『阿片戦争』マキノ正博(1943)

『阿片戦争』エリオット兄弟(鈴木伝明/青山杉作)

阿片を売らんとする英国官僚。
兄は理論派で冷静、弟は血の気が多く粗野。兄が弟を叱って、
「お前は抜き身みたいな男だなあ〜。しかし、最も切れる刀はサヤに入ってるものだよ」
この台詞は、山本周五郎Wの『日日平安』には無い。
黒澤明のシナリオ『日日平安』にも無い。

野盗の集団が車座になって、相談している。
盲目の少女(高峰秀子)をどうやって服従させるか?
長老「腹が減りゃあ、誰だって言うコトをきかあ〜」
汚いカッコウで、地べたに坐っている構図がそのままだし、
長老のキャラクター自体が『七人の侍W』に酷似している。

黒澤が書いたのか? 後の作品での影響は、黒澤の意志か?
小國英雄のシャレか?