2013年、映画の覚え書き

投稿者: | 2014/01/12

2013年は、劇場で映画をほとんど観なくなってしまった。
印象に残ったのは 3本。

『風立ちぬ』 『きっと、うまくいく』 『終戦のエンペラー』
・・・番外で、『パシフィック・リム』 『ゼロ・グラビティ』

パシフィック・リム (映画)W (監督:ギレルモ・デル・トロW)は、Blu-rayの監督コメンタリーで泣いた。映画愛に打たれたのだ。こんな体験は、昔、淀川長治Wさんの講演で「なんてこの人は映画を好きなんだ!!」と号泣して以来だ。

淀川長治『日曜洋画劇場』淀川長治『日曜洋画劇場』

ゼロ・グラビティ (映画)W (監督:アルフォンソ・キュアロンW)は、作り手たちと出演者たちの、誠実さに尽きる。特に、私の大好きな、サンドラ・ブロックWの、普通さが素晴らしい。「ひとりごと」で物語るしかないシーンを成立させるキャラクターは、貴重だ。

『ゼロ・グラビティ』アルフォンソ・キュアロン(2013)

風立ちぬ (宮崎駿の漫画)W (監督:宮崎駿W)は、メッセージ性が好きだ。監督が、あとに残る人たちに伝えようとする言葉に、勇気づけられた。
これは、黒澤明監督の『まあだだよ』、山田洋次監督の『十五才 学校IV』に匹敵する、遺言とも言えるメッセージだ。

黒澤明WまあだだよW』・・・内田百閒(松村達雄)が教え子の孫たちに伝える言葉

みんな、自分がほんとうに好きなものを見つけてください。
自分にとって、ほんとうに大切なものを見つけるといい。
見つかったら、その大切なもんのために、努力しなさい。
君たちはそのとき、努力したいなにかを持っているはずだから。
きっと、それは、君たちの心のこもった、立派な仕事になるでしょう。

山田洋次W十五才 学校IVW』・・・引き籠もりの青年が15歳の主人公に渡した詩

草原のど真ん中の一本道を、あてもなく浪人が歩いている。
ほとんどの奴が馬に乗っても、浪人は歩いて草原を突っ切る。
はやく着くことなんか目的じゃないんだ。雲より遅くて充分さ。
この星が、浪人にくれるものを見落としたくないんだ。
葉っぱに残るあさつゆ、流れる雲、小鳥のちいさなつぶやきを聞き逃したくない。
だから浪人は立ちどまる。
そしてまた、歩きはじめる。

きっと、うまくいくWは、原題の『3 Idiots』がすべてを象徴している。『3人のバカたち』・・・が、あんな美しい物語を観せてくれようとは!!!

『きっと、うまくいく』ラージクマール・ヒラーニ(2009)

終戦のエンペラーW(監督:ピーター・ウェーバー/製作:奈良橋陽子W)は、演出と演技を評価する。天皇裕仁が、マッカーサーに対面した際の、感情の動き。その芝居は奇跡と言える驚きがあった。

『終戦のエンペラー』ピーター・ウェーバー(2012)

◇ ◇ ◇

2012年の映画だが、DVDスルーで2013年に発売された、闘魂先生 Mr.ネバーギブアップW(監督:フランク・コラチW/主演:ケヴィン・ジェームズW)が、去年の一番のお気に入り。

『闘魂先生』ケヴィン・ジェームズ(2012)

資金難の学校を救うために、ダメ教師が格闘技の試合で稼ぐストーリー。ロッキー (映画)Wスクール・オブ・ロックWなどの良いところ取りで、斬新で新奇なアイデアよりも、確実に観客受けする要素を上手く組み合わせている。

『中学生円山』宮藤官九郎(2013)

日本映画では『中学生円山W』(監督:宮藤官九郎W)が奇跡的すばらしさだった。立川談志W氏の言う「イリュージョン」をつくり出せていた。クドカン作品らしい虚構に満ちあふれていながら、リアリズムで撮られていたのが好きな理由だ。