2013年映画BEST「巨匠の遺言」のようなもの

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2013年は、劇場で映画をほとんど観なくなってしまった。
印象に残ったのは 3本。

風立ちぬ』 『きっと、うまくいく』 『終戦のエンペラー
……番外で、『パシフィック・リム』 『ゼロ・グラビティ

パシフィック・リム』(監督:ギレルモ・デル・トロ)は、Blu-rayの監督コメンタリーで泣いた。映画愛に打たれたのだ。こんな体験は、昔、淀川長治さんの講演で「なんてこの人は映画を好きなんだ!!」と号泣して以来だ。

ゼロ・グラビティ』(監督:アルフォンソ・キュアロン)は、作り手たちと出演者たちの、誠実さに尽きる。特に、私の大好きな、サンドラ・ブロックの、普通さが素晴らしい。「ひとりごと」で物語るしかないシーンを成立させるキャラクターは、貴重だ。

『ゼロ・グラビティ』アルフォンソ・キュアロン(2013)

風立ちぬ』(監督:宮崎駿)は、メッセージ性が好きだ。監督が、あとに残る人たちに伝えようとする言葉に、勇気づけられた。

『風立ちぬ』宮崎駿(2013)

これは、黒澤明監督の『まあだだよ』、山田洋次監督の『十五才 学校IV』に匹敵する、遺言とも言えるメッセージだ。

黒澤明まあだだよ』……内田百閒(松村達雄)が教え子の孫たちに伝える言葉

みんな、自分がほんとうに好きなものを見つけてください。
自分にとって、ほんとうに大切なものを見つけるといい。
見つかったら、その大切なもんのために、努力しなさい。
君たちはそのとき、努力したいなにかを持っているはずだから。
きっと、それは、君たちの心のこもった、立派な仕事になるでしょう。

山田洋次十五才 学校IV』……引き籠もりの青年が15歳の主人公に渡した詩

草原のど真ん中の一本道を、あてもなく浪人が歩いている。
ほとんどの奴が馬に乗っても、浪人は歩いて草原を突っ切る。
はやく着くことなんか目的じゃないんだ。雲より遅くて充分さ。
この星が、浪人にくれるものを見落としたくないんだ。
葉っぱに残るあさつゆ、流れる雲、小鳥のちいさなつぶやきを聞き逃したくない。
だから浪人は立ちどまる。
そしてまた、歩きはじめる。

きっと、うまくいく』は、原題の『3 Idiots』がすべてを象徴している。3人のバカたち……が、あんな美しい物語を観せてくれようとは!!

『きっと、うまくいく』ラージクマール・ヒラーニ(2009)

終戦のエンペラー』(監督:ピーター・ウェーバー)は、演出と演技を評価する。天皇裕仁が、マッカーサーに対面した際の、感情の動き。その芝居は奇跡と言える驚きがあった。

『終戦のエンペラー』ピーター・ウェーバー(2012)

日本のプロデューサーによる外国映画を実現した、奈良橋陽子さんに敬意を表したい。

『終戦のエンペラー』製作:奈良橋陽子

2012年の映画だが、DVDスルーで2013年に発売された、『闘魂先生 Mr.ネバーギブアップ』(監督:フランク・コラチ/主演:ケヴィン・ジェームズ)が、去年の一番のお気に入り。

『闘魂先生』ケヴィン・ジェームズ(2012)

資金難の学校を救うために、ダメ教師が格闘技の試合で稼ぐストーリー。『ロッキー』や『スクール・オブ・ロック』などの良いところ取りで、斬新で新奇なアイデアよりも、確実に観客受けする要素を上手く組み合わせている。

日本映画では『中学生円山』(監督:宮藤官九郎)が奇跡的すばらしさだった。クドカン作品らしい虚構に満ちあふれていながら、リアリズムで撮られていたのが好きな理由だ。

『中学生円山』宮藤官九郎(2013)

悪の法則』(監督:リドリー・スコット)や、『フライト』(監督:ロバート・ゼメキス)も良かったな。