2018映画BEST/ネットシネマと戯曲に傾倒
2018年の好きな映画を選んでみて、自分は、作品で何が描かれているかの “好み” を重視していることがわかった。“つくる” とか “信念” とか “守るべきもの” とか “救い” とか “無念” とかだ。
1. ブリグズビー・ベア
映画が人を救う話に弱い。映画をつくることで人が救われてゆく映画には、もっと弱い。なのでこれがベスト1だ。作り手は、つくらねばならないその人個人の理由を秘めているものだから。
2. パッドマン 5億人の女性を救った男
妻を救うことが、人民を救うことに拡大してゆく、物語のスケールが素晴らしい。その上で、この作品の最大の魅力は、主人公のキャラクターである。人物の魅力で押してゆく。
3. 判決、ふたつの希望
物語が評論や論文と違うのは、結論が出せないものを扱えることだと思う。矛盾を、つかみきれないものをそのまま提示する。厳しさは誠実さから生まれている。
4. スリー・ビルボード(Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)
最初に観たときは、「何故そこをドラマにしない!!」とイライラしながら観た。なので、評価は低かった。しかし後々考えてみると、この作品の言いたいことは、“そこ” ではない。本来の狙いに沿って見直したら、ひじょうに良くできた構成だった。“そこをドラマにしない” ことが “狙い” だったのだ。
5. モリーズ・ゲーム
ヒジョーにベタな組み方をしているのだが、さすがアーロン・ソーキンだけに、上手い。これも最初は、台詞が多くて長いなあ〜と、あまり印象は良くなかったのだが、あれ? この作品の隠された主人公の意志は “ここ” かも、と発見したら、俄然評価が上がった。
6. アナイアレイション 全滅領域(Annihilation)
挑戦している作品だと思う。興行的には地味な着地点の作品だが、それを固持した製作のスコット・ルーディンに賛辞を惜しまない。
7. 500ページの夢の束(Please Stand By)
自閉症の女性が、脚本コンクールに直接持ち込みするために、一人で旅に出る。ダコタ・ファニングが素晴らしい!!
2018年は、Netflix と Amazon VIDEO で観たものが多かった。
戯曲をいろいろ読んだせいで、劇作家がシナリオを書いた作品を観る機会が多く、その単純化されていない味わいに魅せられた。