2018映画BEST/ネットシネマと戯曲に傾倒

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2018年の好きな映画を選んでみて、自分は、作品で何が描かれているか“好み” を重視していることがわかった。“つくる” とか “信念” とか “守るべきもの” とか “救い” とか “無念” とかだ。

1. ブリグズビー・ベア

『ブリグズビー・ベア』 監督:デイヴ・マッカリー
『ブリグズビー・ベア』 監督:デイヴ・マッカリー

映画が人を救う話に弱い。映画をつくることで人が救われてゆく映画には、もっと弱い。なのでこれがベスト1だ。作り手は、つくらねばならないその人個人の理由を秘めているものだから。

2. パッドマン 5億人の女性を救った男

『パッドマン 5億人の女性を救った男』 監督:R・バールキ(インド)
『パッドマン 5億人の女性を救った男』 監督:R・バールキ(インド)

妻を救うことが、人民を救うことに拡大してゆく、物語のスケールが素晴らしい。その上で、この作品の最大の魅力は、主人公のキャラクターである。人物の魅力で押してゆく。

3. 判決、ふたつの希望

『判決、ふたつの希望』 監督:ジアド・ドゥエイリ(レバノン)
『判決、ふたつの希望』 監督:ジアド・ドゥエイリ(レバノン)

物語が評論や論文と違うのは、結論が出せないものを扱えることだと思う。矛盾を、つかみきれないものをそのまま提示する。厳しさは誠実さから生まれている。

4. スリー・ビルボード(Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)

『スリー・ビルボード』 監督&脚本:マーティン・マクドナー
『スリー・ビルボード』 監督&脚本:マーティン・マクドナー

最初に観たときは、「何故そこをドラマにしない!!」とイライラしながら観た。なので、評価は低かった。しかし後々考えてみると、この作品の言いたいことは、“そこ” ではない。本来の狙いに沿って見直したら、ひじょうに良くできた構成だった。“そこをドラマにしない” ことが “狙い” だったのだ。

5. モリーズ・ゲーム

『モリーズ・ゲーム』 監督&脚本:アーロン・ソーキン
『モリーズ・ゲーム』 監督&脚本:アーロン・ソーキン

ヒジョーにベタな組み方をしているのだが、さすがアーロン・ソーキンだけに、上手い。これも最初は、台詞が多くて長いなあ〜と、あまり印象は良くなかったのだが、あれ? この作品の隠された主人公の意志は “ここ” かも、と発見したら、俄然評価が上がった。

6. アナイアレイション 全滅領域(Annihilation)

『アナイアレイション -全滅領域-』 監督&脚本:アレックス・ガーランド
『アナイアレイション -全滅領域-』 監督&脚本:アレックス・ガーランド

挑戦している作品だと思う。興行的には地味な着地点の作品だが、それを固持した製作のスコット・ルーディンに賛辞を惜しまない。

7. 500ページの夢の束(Please Stand By)

『500ページの夢の束』 監督:ベン・リューイン
『500ページの夢の束』 監督:ベン・リューイン

自閉症の女性が、脚本コンクールに直接持ち込みするために、一人で旅に出る。ダコタ・ファニングが素晴らしい!!


2018年は、NetflixAmazon VIDEO で観たものが多かった。
戯曲をいろいろ読んだせいで、劇作家がシナリオを書いた作品を観る機会が多く、その単純化されていない味わいに魅せられた。