クライテリオン版『隠し砦の三悪人』

おかむーBLOG映画,三幕構成,画質比較,小國英雄

カセについて考えていたら、急に『隠し砦の三悪人』(1958)が観たくなった。

カセ(枷)とは、「ドラマを盛りあげるための関係的要素」。広辞林によれば「刑具のひとつ、首や足にしばりつけるもの、転じて、離れられないもの、邪魔もの、系累」「登場人物が、ある目的に向かって進んで行こうとするとき、条件として邪魔になるもの」……『シナリオの基礎技術』(新井一)より

『隠し砦の三悪人』は、橋本忍が『複眼の映像』で謂うところの、「1/3ずつ書く」構成のため、前半部が長く、中盤部が短い構成になっている。隠し砦を出るのが、Midpoint(折り返し点)なのだ。

ハリウッドの三幕構成ならば、隠し砦を出る行動が、Act 2 の始まりだ。なので、追いつ追われつの攻防がもっと長く描かれることになり、よりエンターテイメント性が増す。

以下、クライテリオン(Criterion)版と、東宝 MASTER PEARCE(レンタル)版の画質比較。

『隠し砦の三悪人』は、真壁六郎太(三船敏郎)が主人公ではない。シナリオの人物表は、太平(千秋実)・又七(藤原釜足)・真壁六郎太の順になっている。冒頭で最初に出てくるのは太平と又七であり、終幕で最後に出ているのも太平と又七である。

『隠し砦の三悪人』Essential Art House(Criterion)版
Essential Art House(Criterion)版
『隠し砦の三悪人』東宝 MASTER PEARCE(レンタル)版
東宝 MASTER PEARCE(レンタル)版

お白洲は『羅生門』にも出てくるが、これは謎解きがおこなわれる場として、『昨日消えた男』『弥次喜多道中記』(共に脚本:小國英雄)などの遠山金四郎の判官モノの応用と見るべきだろう。

『隠し砦の三悪人』Essential Art House(Criterion)版
Essential Art House(Criterion)版
『隠し砦の三悪人』東宝 MASTER PEARCE(レンタル)版
東宝 MASTER PEARCE(レンタル)版

調子にノッて、『用心棒』(1961)と『七人の侍』(1954)の画質比較も載せておきます。

『用心棒』Criterion版
Criterion版
『用心棒』東宝 MASTER PEARCE(レンタル)版
東宝 MASTER PEARCE(レンタル)版

左から、中谷一郎大橋史典・(ひとり置いて)・ジェリー藤尾三船敏郎と書いていて、ネット検索してオドロイたっ!! 大橋史典ってモノ凄い人だったんだーぁ!! 『マグマ大使』や『怪獣王子』を造ったんだって!! 木村大作フォーカスの片腕も造ったのもこの人!!

『用心棒』Criterion版
Criterion版
『用心棒』東宝 MASTER PEARCE(レンタル)版
東宝 MASTER PEARCE(レンタル)版

菊島隆三の『ごろつき船』(森一生/大映/1950)を観たら、棺桶(早桶)に隠れて敵の監視を突破するシーンがあった。使ったのは黒澤か? 菊島か?

『七人の侍』Criterion版
Criterion版
『七人の侍』東宝 MASTER PEARCE(レンタル)版
東宝 MASTER PEARCE(レンタル)版
『七人の侍』Criterion版
Criterion版
『七人の侍』東宝 MASTER PEARCE(レンタル)版
東宝 MASTER PEARCE(レンタル)版

要はDVDは、クライテリオン版を 買え!ってコトですナ。
当然、リージョンコードは「1」なので、通常のDVDプレイヤーでは再生できませんが……