『帰らざる日々』ロケ地探訪@飯田市
2019年 11月 17日(日)
私用で、長野県飯田市を訪れました。その合間に、私の青春映画の原点である、『帰らざる日々』(監督:藤田敏八/日活/1978)のロケ地を訪ねてみました。
1978年の飯田長姫高等学校。奥に長姫神社の森が見える。物語は、この高校の行事である、風越山への長距離走に始まる。主人公は、そこで友に出会い、その思い出をふりかえり、ラストシーンでその道を走る。
奥に風越山が見える、砂払のY字路。学校をスタートした長距離走は、ここで右に折れ、風越山へ進む。
砂払温泉前のY字路。整備され、Y字路ではなく、右折に変わっている。
ロケは、このあと大平(おおだいら)街道に移って、「あずき洗いの滝」、松川の「市の瀬橋」、折り返し地点として「大平小学校」などで、撮影されている。
時間が無く、この「大平宿」のほうまでは、足を伸ばせなかった。
主人公が友と出会う、長距離走のデッドヒートの場面は、「飯田ヘルスセンター」近くの道で撮影された。
DVDのコメンタリーで、ロケ隊が、深夜のどんちゃん騒ぎで、最初の宿泊先を二泊で追い出され、急遽、代わった先が「飯田ヘルスセンター」だったと、永島敏行さんが語っている。
飯田ヘルスセンターがあった跡地には、送迎用のマイクロバスが廃車で放置され、建物の割れた窓の中には「芸能部控室」と書かれたドアがあった。ここで演芸ショーが盛んにおこなわれていたのであろう。
さて、一番の目的地である、ラストシーンで使われた、道路はどこか?
陽のぐあいから、南東に面した斜面で、奥に、広い道路が南西方向に伸びている。
映像の左下に見える家が、まだ残っていた! 奥に見えるのは「中央自動車道」(1975年8月に区間開通)。
主人公は、かつて友と競いあった、あの場所を、再び走る。「今の女」が、主人公を自転車で追う。
脇に用水路が整備され、電柱の位置も変わり、コンクリート壁の高さも変わったが……。見える風景から、ここしかない!!
ラストカットの場所は、山寄りに道を、もう少し上がったところにあった。いまは住宅地になっていた。
麓に降りてきて、市街地のロケ場所をいくつか。
長姫高等学校に隣接した「長姫神社」は、そのまま残っている(高校は移転した)。神社の前は、舗装され、駐車場になっていた。
飯田銀座商店街での、「初めての女」との別れのシーン。素敵でもなく、ものすごく日常的でありきたりな場所が、ロケ地に選ばれている。その、店と店との建物の隙間で、キスを交わす。
映像からは、奥にレコード店、真ん中に乾物屋、手前に酒屋。そして隙間をはさんで、電機屋(SONY特約店)だ。
多くの店は入れ替わったが、この酒屋は残っていた!(お店の人と話したりはしなかった。訊きたくはなかった) 建物の隙間は、入れないようになっていた。
暗くなってきたので、ロケ地探訪は終了。帰りに、今も残っている「満津田(まつだ)」で夕食。
映画にシナリオというものがあると意識しだして、最初に読んだコンクール入賞作が、城戸賞受賞の『夏の栄光』だった。その劇場公開タイトルが『帰らざる日々』。作者の中岡京平(栗山和夫)さんの母校が、飯田長姫高等学校。高校時代の思い出と、東京に出てからの生活が、この物語のベースになっている。(映画化にあたって、内容は大幅にブラッシュアップされた)
長姫高校の校舎は移転で壊されもう無いが、その跡に「飯田市美術博物館」が建ち、その屋上から眺めた風景が、下の写真。この映画の最大のモチーフになっている「風越山」が遠くに見えている。
【追記】 何度も出てくる、主人公たちがたむろす喫茶店。40年前だからもう無いだろうし、喫茶店なんてたくさんあって捜せない! と店名をチェックしていなかった。戻ってきて、DVDを観直したら、店名がわかった! しかもまだ営業しているらしい!!
次回、飯田を訪れたら、必ず行かねば!!