新野物語 NOA新野@阿南町
NOA(NAGANO ORGANIC AIR)の公演を観に、新野(長野県下伊那郡阿南町)へゆきました。
2021年 11月 7日(日)
新野(にいの)の朝は、霧に包まれていました。四方を山に囲まれた窪地に、川下のほうからジワジワと水蒸気が立ち昇って来ます。陽が差すと、なおも湯気があがってきます。
ここ行人山には、新野を見おろす、鉄骨の立派な展望台がありました(新野行人山展望台)。新野は「千石平」とも呼ばれ、低い山に四方を囲まれた土地が、気温を安定させ、豊かな農作物をもたらしているようです。
新野は、長野県の南端にある愛知県との県境の村。遠州街道(国道151号線)が、飯田と豊橋を結んでいます。現在は阿南町(あなんちょう)の一部になっています。季節は冬が近づきつつある秋。
町の天然記念物「十九庵の大銀杏」も今が、紅葉の盛りです。本日の公演は、新野の中心部にある「まるはち旅館」の大広間でおこなわれます。長野県文化振興事業団による事業「NAGANO ORGANIC AIR」による、新野での滞在制作。その発表会になります。
滞在制作のアーティストは、山田百次(やまだ ももじ)さん。そこに、新野の金田渚(かなだ なぎさ)さんと、売木村の小原華(おはら はな)さんが加わり、新野の昔を舞台にした演劇『新野物語』が上演されます。
NOA新野『新野物語』脚本・演出:山田百次
「庄屋さま」や「お伊勢参り」のあった時代。新野の村に、「行き倒れ」が転がり込みます。津軽弁を話し、何をしゃべっているのか聞き取れない、あやしい男。
庄屋の娘と奉公人は、水を飲ませ、にぎりめしを喰わせ、介抱します。
男は、「はやり病」が蔓延した、津軽の村の仲間を救うために、単身「お伊勢参り」に行く途中。山賊にあって、お金も食べ物も全部盗られてしまった。
庄屋の娘が、「新野の盆踊り」の踊りと唄を披露し、男の心をなごませます。
男は、身体が回復するまで、この親切で実り豊かな土地(新野)に留まり、世話になることにしました。そして……
NOA新野『新野物語』シンポジウム
公演のあとは、出演者やスタッフたちによる、シンポジウムがおこなわれました。(司会は野村政之さん)
脚本・演出・出演の、山田百次さん。むずかしい役柄を、自ら引き受けて、熱演でした。
出演の、新野出身の金田渚さん(左)と、売木村(うるぎむら/新野の隣村)在住の小原華さん(右)。前半をコメディに仕立てた立役者。
滞在制作のホストをつとめた「新野だら実行委員会」の、金田信夫(かなだ しのぶ)さん。信夫さんや、この旅館の御主人たちと、酒を酌み交わして、夜通し話したことが、この物語の根幹をつくったとのこと。
盆踊りというと、観光として華やかで、にぎやかなものを想像しますが、本来は「死」があり、人や歴史や文化の、長い積み重ねによるものです。その本質を、逃げることなく、真っ正面からとらえた、真摯な物語でした。山田百次さんの誠実さを感じました。
金田信夫さんの地域おこし拠点「カサビエント」庭からの新野。『新野の盆踊り』など、新野情報は……
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DeepJapan 新野高原(新野から☆元気にしまい会)
https://deepjapan-niino.info/
Youtube に公演の動画が公開されました。