高峰秀子が好き
昔の日本映画を観るにつけ、気になってくるのが、高峰秀子さん!!
貧乏から子役で家族を養い、太平洋戦争では、死んでゆく兵士が胸に秘めた代理恋人として、一番だった人。
兵士を送り、慰問団でまわり、戦後は反戦の視点を持った、気丈な人。
引退後は、エッセイ集『わたしの渡世日記』で名を成すが、それもデビュー初期の『綴方教室』からずっと続けている勉強の賜であろう、真面目な人。
とにかく、日中戦争から大東亜戦争初期にかけての、『新篇 丹下左膳 隻眼の巻』『阿波の踊子』の可愛さといったら、ツンデレの見本!! なのだ。
日本映画傑作全集などから、高峰秀子（1924/3/27〜2010/12/28）さんの画像をキャプチャーしてみました。
『新篇 丹下左膳 隻眼の巻』（監督：中川信夫）では、勝ち気な商家の娘の役で、からかう岸井明を殴るシーンが可愛い。劇中で、恋い焦がれる大河内傳次郎（丹下左膳）の物真似をするのだが、必見!!
『阿波の踊子』（監督：マキノ正博）は、徳島ロケの阿波踊りシーンが圧巻!! この作品でも、男たちを平手打ちし、恋い焦がれる長谷川一夫の動作を真似てみる。
『秀子の車掌さん』（監督：成瀬巳喜男）はオールロケで、少ない登場人物の佳作。自然体で、のびのびとした姿が素敵。
『銀座カンカン娘』（監督：島耕二）は、親友役に笠置シヅ子、彼氏役が灰田勝彦、居候先の夫婦が古今亭志ん生と浦辺粂子、唄うトリオのもう一人が岸井明という、とんでもないキャスティング!!
『カルメン故郷に帰る』（監督：木下惠介）は木下惠介監督らしい悪意を感じられる。女性を美しく撮ろうなどと考えていない。ありのままに突き放して描いている。
こういう腹の据わった役者さんは、昭和の時代のものかもしれませんね。生活を背負った、覚悟が違う気がします。痛みの先の笑顔……が当たりまえの前提としてあった。