阿片戦争はホントに小國英雄かぁ?

日本映画小國英雄,マキノ正博,高峰秀子,黒澤明

1月に『男の花道』を観てから、小國英雄を追いかけている。
とりあえず、今日までに観たのは、50本ほど。脚本家や監督で、これだけ観たのは初めて。
総当たりで観る面白さを知りました。

まずは備忘録として、観た映画のタイトルと入手先。

  • エノケンの法界坊(斎藤寅次郎/1938)……TSUTAYA新宿
  • 水戸黄門漫遊記(斎藤寅次郎/1938)……荒川区立南千住図書館
  • 弥次喜多道中記(マキノ正博/1938)……ヤフオクで入手
  • エンタツ・アチャコの新婚お化け屋敷(斎藤寅次郎/1939)……荒川区立南千住図書館
  • エノケンの頑張り戦術(中川信夫/1939)……TSUTAYA新宿
  • ロッパ歌の都へ行く(小國英雄/1939)……荒川区立南千住図書館
  • 支那の夜/蘇州夜曲(伏水修/1940)……TSUTAYA新宿
  • 續清水港/清水港代参夢道中(マキノ正博/1940)……荒川区立南千住図書館
  • 昨日消えた男(マキノ正博/1941)……ラピュタ阿佐ヶ谷
  • 家光と彦左(マキノ正博/1941)……ヤフオクで入手
  • 男の花道(マキノ正博/1941)……TSUTAYA新宿
  • 待って居た男(マキノ正博/1942)……国立国会図書館
  • 婦系図(マキノ正博/1942)……TSUTAYA新宿
  • 阿片戦争(マキノ正博/1943)……荒川区立南千住図書館
  • 日常の戦ひ(島津保次郎/1944)……荒川区立南千住図書館
  • 龍の岬/恩讐を越えて(白井戦太郎/1945)……荒川区立南千住図書館
  • 三十三間堂通し矢物語(成瀬巳喜男/1945)……荒川区立南千住図書館
  • 或る夜の殿様(衣笠貞之助/1946)……荒川区立南千住図書館
  • 新馬鹿時代(山本嘉次郎/1947)……台東区立中央図書館
  • 狙われた女(森一生/1948)……東京国立近代美術館フィルムセンター
  • 幽霊列車(野淵昶/1949)……TSUTAYA渋谷
  • 東京のえくぼ(松林宗恵/1952)……TSUTAYA新宿
  • 煙突の見える場所(五所平之助/1953)……TSUTAYA渋谷
  • ブルーバ(鈴木重吉/1955)……TSUTAYA渋谷
  • 宇宙人東京に現わる(島耕二/1956)……TSUTAYA渋谷
  • 銭形平次捕物控 死美人風呂(加戸敏/1956)……TSUTAYA渋谷
  • 四谷怪談(毛利正樹/1956)……TSUTAYA渋谷
  • 宝島遠征(小林恒夫/1956)……TSUTAYA渋谷
  • 鼠小僧忍び込み控 子の刻参上(田坂勝彦/1957)……TSUTAYA渋谷
  • 江戸っ子祭(島耕二/1958)……TSUTAYA新宿
  • 旅は気まぐれ風まかせ(田坂勝彦/1958)……TSUTAYA新宿
  • 女狐風呂(安田公義/1958)……TSUTAYA新宿
  • 花の遊侠伝(安田公義/1958)……ヤフオクで入手
  • 孔雀城の花嫁(松村昌治/1959)……ヤフオクで入手
  • 水戸黄門 天下の副将軍(松田定次/1959)……東映 Movie Circus
  • 血槍無双(佐々木康/1959)……TSUTAYA渋谷
  • 丹下左膳 妖刀濡れ燕(松田定次/1960)……東映 Movie Circus
  • 清水港に来た男(マキノ雅弘/1960)……TSUTAYA新宿
  • 水戸黄門(松田定次/1960)……東映 Movie Circus
  • 安珍と清姫(島耕二/1960)……TSUTAYA新宿
  • 庄助武勇傳 会津磐梯山(松田定次/1960)……ヤフオクで入手
  • 森の石松鬼より恐い(沢島忠/1960)……TSUTAYA新宿
  • 家光と彦左と一心太助(沢島忠/1961)……ヤフオクで入手
  • 赤穂浪士(松田定次/1961)……TSUTAYA新宿
  • 大江戸評判記 美男の顔役(沢島忠/1962)……ヤフオクで入手
  • 天下の御意見番(松田定次/1962)……ヤフオクで入手
  • 橋蔵のやくざ判官(マキノ雅弘/1962)……TSUTAYA恵比寿ガーデンプレイス
  • 影を斬る(池広一夫/1963)……TSUTAYA新宿
  • 雑兵物語(池広一夫/1963)……ラピュタ阿佐ヶ谷
  • 道場破り(内川清一郎/1964)……TSUTAYA渋谷
  • 昨日消えた男(森一生/1964)……TSUTAYA新宿
  • クレージーの無責任清水港(坪島孝/1966)……TSUTAYA新宿

小國英雄のスゴさは、間口の豊富さだと思う。
歌謡映画・喜劇映画・推理もの・メロドラマとさまざまなジャンルをこなしながらも、ジャンルをまぜこぜにしない。ジャンルごとに書き分けている。

講談や落語、海外の推理小説からアイデアを持ってくる。そのアイデアが、本質を突いて恐れ入る。黒澤明の『天国と地獄』を想起して欲しい。「誘拐での身代金の要求先は、親族である必要はない」……この核心部分の視点のあざやかさが、作品を高める。

観たなかでヘンテコなのは、『阿片戦争』だ。
小國脚本にしては、固い気がする。ノンクレジットで黒澤明が参加していたという記述が、Wikipediaにある。

大オープンセット『阿片戦争』マキノ正博
大オープンセット『阿片戦争』マキノ正博

阿片戦争』は、マキノ正博が監督。昭和18年1月公開の国策映画。いきなり「百年前」とテロップが入る。
売りは、円谷英二の特撮と、原節子高峰秀子の姉妹。原節子がチャイナドレスで踊る。

原節子『阿片戦争』マキノ正博(1943)
原節子『阿片戦争』マキノ正博(1943)
原節子・高峰秀子『阿片戦争』マキノ正博(1943)
原節子・高峰秀子『阿片戦争』マキノ正博

どんよりと紫煙のけむる阿片窟にやってきた清の国の高級官吏。その耳元に案内人がささやく。
アヘンを吸えば、この世も天国。しかし……天国と地獄は、紙一重でございますよ
……この阿片窟のイメージは、そのまま『天国と地獄』。タイトルの腹案は、こんなころからあったのか??

エリオット兄弟『阿片戦争』(鈴木伝明・青山杉作)
エリオット兄弟『阿片戦争』(鈴木伝明・青山杉作)

阿片を売らんとする英国官僚。兄は理論派で冷静、弟は血の気が多く粗野。兄が弟を叱って、
兄 「お前は抜き身みたいな男だなあ〜。しかし、最も切れる刀はサヤに入ってるものだよ
この台詞は、山本周五郎の『日日平安』には無い。黒澤明のシナリオ『日日平安』にも無い。

野盗の集団が車座になって、相談している。盲目の少女(高峰秀子)をどうやって服従させるか?
長老 「腹が減りゃあ、誰だって言うコトをきかあ〜
汚いカッコウで、地べたに坐っている構図がそのままだし、長老のキャラクター自体が『七人の侍』に酷似している。

黒澤が書いたのか? 後の作品での影響は、黒澤の意志か? 小國英雄のシャレか?